オステムインプラントは、ITIインプラントと同じ表面性状であるSLAを採用し、アストラインプラントと類似した形態のインプラント体を設計しました。つまり、1回法を導入しやすく、ネジのゆるみにくいインプラント体を製品化することに成功しています。
さらに、アストラインプラントと類似の形態でありながら直径6mm、7mmといった大きめのインプラント体もラインアップに持っており、ブローネマルクインプラントと同様、初期固定まで得やすい設計を実現したのです。
これはいわば後出しじゃんけんのような開発ですが、患者さんにとって有利な設計であることは間違いありません。

ここまでオステムインプラントがいかに、3大メーカーの長所を模倣してきたかを解説してきましたが、「単なるコピー製品なのでは？」と不安に感じる方もいらっしゃることでしょう。確かに、それぞれのメーカーのインプラントには一長一短があり、完璧なものを製作することは不可能といえます。
例えば、アストラインプラントに関していえば、インプラントの中がくり抜かれた形状を呈しており、5mm以下の小さな形のフィクスチャーでは破折しやすい傾向にあるのです。実際、インプラントネックの部分が破折したという報告があります。

もちろん、そのようにして自社オリジナルのインプラント体の開発に勤しむことは重要なことですが、その結果、メリットだけでなくデメリットまで大きくなってしまったのでは本末転倒です。
その点、オステムインプラントは3大インプラントメーカーの模倣ではあるものの、それぞれの長所が最大になるよう最適化されており、患者さんにとっては非常に有益なインプラントシステムへと仕上がっています。そうした取り組みが実を結び、アジア環太平洋地域でシェア1位、全世界で6位という地位にまで上り詰めています。

オステムインプラントでは、SLAという特殊な表面性状が付与されているため、本来であれば骨移植が必要な症例でも、サイナスリフトのような外科処置なしでインプラント体を埋入することが可能です。また、太くて短いインプラント体を使用することで、下顎管の損傷を防ぐことにも寄与します。これらはいずれもオステムインプラントを採用することによって得られるメリットといえます。